本読んで寝る読んだ本のあらすじと感想をつづっています。面白い本を探す手がかりになれば、うれしいです。日曜・木曜 更新。 

このページの記事目次 (カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー

← 前のページ  total 8 pages  次のページ →  

「残穢」小野不由美

  > 2013/02/10 (日)  カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー
残穢
小野 不由美
新潮社

≪あらすじ≫

発端は、作家を生業としている"私"のもとに久保さんという読者から
部屋に何かがいるような気がするという手紙が届いたことだった。

久保さんが新居に越してきて、ようやく落ち着いたころ、
たまに畳の表面をさっと擦るような音がすることに気が付いた。
音がした和室を見ても特に以上はなく、気にして見ていると
音はしない。忘れたころに、さっという小さな音がする。
ある日、ひとしきり音を聞いたあと、いきなり振り返ってみると
着物の帯が見えた。
垂れ下がった帯がゆっくりと左右に揺れ、畳を這う…
そんなイメージを思い浮かべ、それが音の正体ではないかと感じた。

この話を聞いた"私"は、以前にも似たような手紙を読者から
もらっていて、それは久保さんと同じマンションだということが
判明し、過去に何かあったのではと調べることになった。


--目次--

一 端緒
二 今世紀
三 前世紀
四 高度成長期
五 戦後期I
六 戦後期II
七 戦前
八 明治大正期
九 残渣

怨みを伴う「死」は穢れとなる。
穢れは怪異となり、伝染し、拡大する。

(帯より)


≪感想≫

同時に発売された小野不由美さんの「鬼談百景」と「残穢(ざんえ)」。
「鬼談百景」は、いろんな人の体験談を集めた99話の怪談で、
「残穢」は、マンションで起こる怪異の原因を追うというドキュメンタリー風な
作品です。
鬼談百景 (幽BOOKS) 残穢

平山夢明さん、福澤徹三さんなど実在する作家たちが登場したり、
怪異の根源を追う"私"は、著者の小野不由美さん自身を思わせる。
「鬼談百景」の『お気に入り』という話とリンクしています。

物語ではなくて実話のような雰囲気です。ホントは、どっちだ?

"穢れ(けがれ)は、伝染して、拡大する"って、すごい怖い。
新築の家でも油断ならない。
過去に何もなかった土地なんて、そうあるものではないし、
風邪みたいに人から人へうつったりするなんてことになったら
"穢れ"がない場所なんて、ごくわずかだろうなあ。
霊感がなくて、よかった。

私は本を読んだあと、電気をつけたまま眠りについた。

◆装画/司修
 ブックデザイン/祖父江慎+鯉沼恵一(cozfish)


≪気分別の分類≫ゾッとする本

この記事に含まれるタグ : 小野不由美 

FC2スレッドテーマ : 読んだ本の紹介 (ジャンル : 本・雑誌

(記事編集) http://hyna.blog92.fc2.com/blog-entry-333.html

2013/02/10 | Comment (8) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

「霧の王」ズザンネ・ゲルドム 遠山明子/訳

  > 2013/01/27 (日)  カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー
霧の王
ズザンネ・ゲルドム
東京創元社

≪あらすじ≫

もうすぐ14歳になるサリーは、大きな館の厨房で下働きをしている。
館の外に世界があることを知らないばかりか、館の中ですら
行ったことのない場所が山ほどあった。
それでも特に不満を感じることもなく、仕事がない時間に図書室で
本を読むことを楽しみに日々暮らしていた。

ある日、給仕係の女の子がケガをしてしまい、代わりにサリーが
給仕係になるよう女執事に命じられた。
南棟で行われる侍従主催の晩餐会に急いで向かい、働くサリーだったが
そこで戦慄の出来事が待っていた。

--目次--

登場人物
プロローグ
第一章~第十八章
訳者あとがき

孤児の少女サリーが謎の男に渡されたのは
この世でただひとり、彼女のための本だった。

(帯より)


≪感想≫

ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」、
ラルフ・イーザウ「ネシャン・サーガ」の流れをくむ、
正統派ドイツファンタジー。(内容紹介より)
はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー) ネシャン・サーガ〈1〉ヨナタンと伝説の杖 ネシャン・サーガ〈2〉第七代裁き司の謎 ネシャン・サーガ〈3〉裁き司最後の戦い

厨房の下働き・サリーにとって館の中が世界のすべて。
大好きな本の中に出てくる"村"、"海"、"山"などが何のことだか
さっぱり分からなくて、図書室にいる司書のウールにたずねる。
住んでいる館や、一度も姿を見たことがない館の主人のことさえ
分からないことだらけ。
自分が何も知らないということを知らないとは、なんと恐ろしいことか。

読んでいた本の物語が物語でなくなる。

ゾッとする場面もありつつ、龍やしゃべる猫、梟・狼・鴉・鼠などの氏族が
出てきたりして、いかにもファンタジーらしい話だった。

表紙のイラストが好きだ。
ページの全面ではないが章ごとに1つイラストがあって、これも素敵。

◆装画/橋賢亀
 装幀/内海由

≪気分別の分類≫ドキドキ・ハラハラする本

この記事に含まれるタグ : ズザンネ・ゲルドム 遠山明子 

FC2スレッドテーマ : 読んだ本の紹介 (ジャンル : 本・雑誌

(記事編集) http://hyna.blog92.fc2.com/blog-entry-329.html

2013/01/27 | Comment (10) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

「新装版ムーミン谷の夏まつり」ヤンソン

  > 2012/12/20 (木)  カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー

≪あらすじ≫

ジャスミンの香りにつつまれた六月の美しいムーミン谷をおそった火山の噴火。
大水がおしよせてきて、ムーミン一家や動物たちは流され、
ちょうど流れてきた劇場に移り住むことにした。ところが、
劇場を知らないみんなが劇をはじめることになって…。
(「BOOKデータベース」より)

--目次--

第1章
木の皮の船と火をふく山と

第2章
朝ごはんをさがしにもぐる

第3章
ばけものやしきに住みつく

第4章
みえっぱりということ、そして
木の上でねるのは、きけんであること

第5章
劇場で口ぶえをふくと、どうなるか

第6章
公園番へのかたきうち

第7章
夏まつりのイブのこと

第8章
どういうふうに劇をつくるか

第9章
ふしあわせなパパ

第10章
劇の練習

第11章
ろうや番をだます

第12章
ゆめのような初日興行

第13章
罰とほうび


解説/下村隆一(1969年3月24日 初版への「解説」より)
ムーミン谷の魅力4/冨原眞弓(2011年3月)

「ここには、わけのわからないことが、いっぱいあるわ。だけど、
ほんとうは、なんでもじぶんのなれているとおりにあるんだと
思うほうが、おかしいのじゃないかしら?」

(本文より)


≪感想≫

電車内、本を読み始めて嫌な予感。
読んだことあるぞ「ムーミンパパの思い出」
自分のブログを確認してみると、やはりあった。6月に読んでいる。
読んだ本をブログで記録しとくと、こういうときに便利だなあ
などと、ただちょっとカバンを重くしただけの本のことは忘れて
もう寝るしかない。地下鉄じゃあ外の景色も楽しめない。

そして、帰宅し寝る前にようやく本命の「ムーミン谷の夏まつり」に
取りかかる。何気に災害が多い気がするムーミン谷。
のんびりやで楽天家のムーミン一家のおかげで、被災しても
暗さは全然ないと言っていいくらい、のほほんとしている。
今回、気になるのは新しい登場人物たち。
ミーサは被害妄想が激しい子、エンマはいじわるばっかりしてくる劇場ねずみ。
この感じ悪い人たちが劇的に変わるんだなあ。

もう1つの見所は、スナフキンの子育てっぷり。
表紙にも載っているスナフキンと子供たち。期待しすぎるといけないので
言っておきますが本当の子供ではないし、とても短い期間なので
あしからず。

まだ4冊しか読んでないけど、ムーミンシリーズの中で
「ムーミン谷の夏まつり」がいちばん好きだ。(暫定)

劇場版「ムーミン パペット・アニメーション ~ムーミン谷の夏まつり~」
監督:マリア・リンドバーグ
劇場版ムーミン パペット・アニメーション ~ムーミン谷の夏まつり~ 紙芝居風ポストカード付 (3000セット限定) [DVD]


◆カバー絵・さし絵/ヤンソン
 カバー装丁/脇田明日香

◆シリーズ
「ムーミン谷の彗星」
「たのしいムーミン一家」
「ムーミンパパの思い出」
「ムーミン谷の夏まつり」
「ムーミン谷の冬」
「ムーミン谷の仲間たち」
「ムーミンパパ海へいく」
「ムーミン谷の十一月」

「小さなトロールと大きな洪水」


≪気分別の分類≫ほのぼのする本

この記事に含まれるタグ : ヤンソン 

FC2スレッドテーマ : 読んだ本の紹介 (ジャンル : 本・雑誌

(記事編集) http://hyna.blog92.fc2.com/blog-entry-318.html

2012/12/20 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

「暗い森のサーカス」マチゲリータ

  > 2012/11/04 (日)  カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー

≪あらすじ≫

━━━碧く、暗く。
鬱蒼と萌える"暗い森"に囲われた世界。
其処で起こった、悲劇、絶望を記したほんがこの本だ。

(「はじめに」より)

7つの短編。

--目次--

はじめに

「異形の歌姫」
ひたいから頭を一周回るようにして細かく"角"が生えているアンナ

「蛞蝓とビガゾー」
わがままな娘・ビガゾーの毎朝の日課は、ナメクジを
塩の入った鍋に入れること

「月光と黒」
希少な狼の子供を狙って毛皮売りをしていた夫婦の間に生まれた子供は
狼男だった

「甘き死の柩」
魔法の鏡で、この世でいちばん美しいのがクラウディア王女だと知り
継母のデリアは暗殺を企てる

「双つ頭の双子」
真っ暗な森に置き去りにされ死んだ男女の双子。
幽霊となった2人の体はくっつき、母親に会いに行く

「黒い塔の王子」
バルタザールの趣味はギロチンでの処刑

「団長」
妻と2人の子供、そして弟に支えられ活動する売れないピアニストが
今日、人を殺してしまった

あとがき


≪感想≫

「暗い森のサーカス」とは
2008年2月25日、ニコニコ動画に投稿された
マチゲリータ作詞・作曲・編曲による楽曲。
不気味なワルツのメロディー、独自の世界観を展開する歌詞など
幻想狂気曲として人気を博す、マチゲリータの代表曲である。
(本書より)

「暗い森のサーカス」という曲の世界のノベル化だったんですね。
何も知らずに、ただ妖しさに惹かれて読みました。

悪いことをすると容赦ない罰を受けるというような
初版グリムを思わせる話でした。
「赤ずきん」や「白雪姫」がモチーフかなというものも。
口絵のイラストや挿絵が好きです。

本を読んだあとに動画を見てみました。
動画のほうがなんか不気味です。

「暗い森のサーカス」のイラストカードと招待状が入ってました。
招待状にはあらすじが書いてあります。初版限定のようです。
「黒い森のサーカス」招待状とイラストカード/表 「暗い森のサーカス」招待状とイラストカード/裏

◆イラスト
 猫将軍(カバー)
 マチゲリータ(挿絵)
 花蟲えぬ(ピンナップ)
 ざいん(ピンナップ)
 GENk(口絵)
 たわし(口絵)


≪気分別の分類≫せつない・悲しい本、ゾッとする本

この記事に含まれるタグ : マチゲリータ 

FC2スレッドテーマ : 読んだ本の紹介 (ジャンル : 本・雑誌

(記事編集) http://hyna.blog92.fc2.com/blog-entry-305.html

2012/11/04 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

「オズの魔法使い」ライマン・フランク・ボーム 河野万里子/訳

  > 2012/10/14 (日)  カテゴリー: SF・ホラー・ファンタジー
オズの魔法使い (新潮文庫)
ライマン・フランク ボーム
新潮社

≪あらすじ≫

大たつまきに家ごと運ばれたドロシーは、
見知らぬ土地にたどりつき、脳みそのないかかし、
心をなくしたブリキのきこり、臆病なライオンと出会う。
故郷カンザスに帰りたいドロシーは、一風変わった仲間たちと
どんな願いもかなえてくれるというオズ大王に会うために、
エメラルドの都を目指す。
西の悪い魔女は、あの手この手でゆくてを阻もうとするが…。
世界で愛され続ける名作。
(「BOOKデータベースより」)

◆装画・挿画/にしざかひろみ
 デザイン/新潮社装幀室


≪感想≫

小学生のころに見た舞台『オズの魔法使い』で西の悪い魔女が
ドロシーにやっつけられて魔法の靴を残し見事に消えるシーンがあったなあ。

中学生のころ文化祭のクラスの出し物で『オズの魔法使い』の劇をした。
「私の役はセリフなしで」と脚本を書いていた友達にお願いしたのに
例外なく、どんな役にもひと言はセリフがあるように配慮してあって
結局ひと言 何か言った"家来その1"の私。ドキドキしたなあ。

なんだかいろいろ『オズの魔法使い』に関する思い出が
よみがえってきました。

ちゃんと本を読んでみると、忘れていたエピソードや
全然知らなかったエピソードも出てきたりして満喫しました。

『オズの魔法使い』はシリーズになっていて、
ライマン・フランク・ボームが書いたものと
ほかの作家たちが書いたものがあるようです。
今回紹介した本は続編を出版する予定はないようですが
続編を出している出版社がありましたので
全部読んでみたい方はそちらをどうぞ。
ただし、ほかの作家たちが書いたものは翻訳されてないようです。

◆以下は、
 ライマン・フランク・ボーム/著、復刻ドットコム/出版社の
 『完訳 オズの魔法使い』シリーズです。全15巻。児童書。

「完訳 オズの魔法使い」
「完訳 オズのふしぎな国」
「完訳 オズのオズマ姫」
「完訳 オズとドロシー」
「完訳 オズへの道」
「完訳 オズのエメラルドの都」
「完訳 オズのパッチワーク娘」
「完訳 オズのチクタク」
「完訳 オズのかかし」
「完訳 オズのリンキティンク」
「完訳 オズの消えた姫」 
「完訳 オズのブリキのきこり」
「完訳 オズの魔法」
「完訳 オズのグリンダ」
「完訳 オズの小さな物語」(短編集、全6話)
完訳 オズの魔法使い 《オズの魔法使いシリーズ1》 完訳 オズのふしぎな国 《オズの魔法使いシリーズ2》 完訳 オズのオズマ姫 《オズの魔法使いシリーズ3》 完訳 オズとドロシー 《オズの魔法使いシリーズ4》 完訳 オズへの道 《オズの魔法使いシリーズ5》
完訳 オズのエメラルドの都 《オズの魔法使いシリーズ6》 完訳 オズのパッチワーク娘 《オズの魔法使いシリーズ7》 完訳 オズのチクタク 《オズの魔法使いシリーズ8》 完訳 オズのかかし 《オズの魔法使いシリーズ9》 完訳 オズのリンキティンク 《オズの魔法使いシリーズ10》
完訳 オズの消えた姫 《オズの魔法使いシリーズ11》 完訳 オズのブリキのきこり 《オズの魔法使いシリーズ12》 完訳 オズの魔法 《オズの魔法使いシリーズ13》 (オズの魔法使いシリーズ 13) 完訳 オズのグリンダ 《オズの魔法使いシリーズ14》 完訳 オズの小さな物語 《オズの魔法使いシリーズ15》 (オズの魔法使いシリーズ 15)

≪気分別の分類≫楽しい本


≪2013年2月5日追記≫

"オズ誕生"の物語をディズニーが完全映画化。
2013年3月8日全世界同時公開。
映画「オズ はじまりの戦い」
監督:サム・ライミ
出演:ジェームズ・フランコ、ミシェル・ウィリアムズ
    レイチェル・ワイズ、ミラ・クニス ほか
オズ はじまりの戦い ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]


オズ はじまりの戦い (ディズニーアニメ小説版)
 小説版「オズ はじまりの戦い」
 エリザベス・ルドニック/著 しぶやまさこ/訳

この記事に含まれるタグ : ライマン・フランク・ボーム 

FC2スレッドテーマ : 読んだ本の紹介 (ジャンル : 本・雑誌

(記事編集) http://hyna.blog92.fc2.com/blog-entry-299.html

2012/10/14 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |